耐震等級3でも倒壊する?その不安を解消する「本当の」地震対策

耐震等級3でも倒壊する?その不安を解消する「本当の」地震対策

2025.11.27

熊本地震で倒壊ゼロだった実績から「最強」と言われる耐震等級3ですが、実は「等級3だから絶対に倒壊しない」とは断言できないリスクも潜んでいます。

本記事では、なぜ最高等級でもリスクが残るのか、そしてそのリスクをどう防ぐかについて、豊橋・豊川エリアで創業55年、地震に強いモノコック構造の家づくりに実績を持つタイコウハウスが詳しく解説します。

目次

【結論】耐震等級3でも倒壊する可能性はあるのか?

地震のイメージ模型

耐震等級3は熊本地震で倒壊ゼロだった

熊本地震において、震度7の揺れに2度見舞われた益城町中心部では、2000年以降の新耐震基準(等級1相当)で建てられた木造住宅でさえも、国土交通省の調査で倒壊が2.2%確認されるなど、甚大な被害が発生しました。

そんな中でも、耐震等級3の住宅は「倒壊ゼロ」という結果でした。建築基準法レベル(等級1)の住宅に倒壊や大破が相次ぐ中、等級3の住宅はその圧倒的な強さを証明しました。

この結果から、耐震等級3は震度7クラスの激しい揺れに対し、命と財産を守る上で極めて有効であることが実証されました。ただし、これはあくまで熊本地震の条件下での結果であり、「絶対安全」を保証するものではありません。

なぜ耐震等級3でも「倒壊しない」とは断言できないのか?

耐震等級3が非常に強力であるにもかかわらず「絶対に倒壊しない」と断言できない理由は、現行の耐震基準が想定する「地震のパターン」や「地盤の状態」には限界があるためです。

耐震等級は、基本的に「1回(稀に発生する大地震)の揺れ」に対して倒壊しないことを検証します。しかし、実際の地震は1回で終わりません。また、家が建っている「土地」そのものが被害を受ければ、いくら建物が頑丈でも無事では済みません。

最高等級であっても、「想定外」のリスクが存在することは認識しておく必要があります。具体的にどのようなリスクがあるのか、次項で解説します。

1.「繰り返す地震(本震と余震)」によるダメージの蓄積

耐震等級の計算は「震度6強~7相当の地震を1回受けても倒壊しない」ことを基準にしています。しかし、熊本地震のように大きな揺れが繰り返し発生すると、建物にダメージが蓄積し、性能が低下する恐れがあります。

1回目の揺れで倒壊しなくとも、壁の内部や接合部に目に見えない損傷が発生することがあります。その状態で2回目、3回目の強い余震を受けると、損傷が拡大し、最悪の場合、倒壊に至るリスクが高まります。

これは「疲労骨折」に似ており、一度の負荷では折れなくとも、度重なる負荷で限界を超える現象です。

耐震等級3は、この「繰り返す揺れ」に対しても余裕があるため等級1より圧倒的に有利ですが、その余裕度にも限界はあります。大地震後は、必ず専門家による損傷チェックを受けましょう。

2.地盤の液状化や地すべりによるリスク

耐震等級は「建物本体の強さ」を示す指標であり、地盤の変動(液状化や地すべり)による被害は考慮されていません。

いくら建物が頑丈でも、その下の地盤自体が液状化したり、地すべりで土地ごと動いたりすれば、家は傾き、沈下し、倒壊や居住不能な状態に陥ります。

2024年の能登半島地震でも、強固な基礎を持つ住宅が地盤の液状化によって大きく傾く被害が多数報告されました。建物が無事でも、地盤が崩れれば家は守れません。

そもそも耐震等級とは?等級1・2・3の基準を解説

模型の家と作業服の男性

耐震等級とは、地震に対する建物の「強さ(耐震性)」をランク付けした指標です。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、専門的な構造計算によって3つのレベルに分類されます。

耐震等級は、建物の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価するものです。建築基準法が定める最低限の基準(等級1)に対し、その1.25倍(等級2)、1.5倍(等級3)と、数字が大きいほど耐震性が高くなります。

大地震後も安全に住み続けるためには、どの等級を目指すかが重要です。それぞれの基準を詳しく見ていきましょう。

耐震等級1:建築基準法で定められた最低限の基準

耐震等級1は、建築基準法で定められた「最低限」の耐震性能です。日本国内のすべての建物は、この基準を満たすことが義務付けられています(※旧耐震基準の建物を除く)。

等級1は、「震度6強から7程度の大地震(数百年に一度レベル)で、即座に倒壊・崩壊しない」ことを基準にしています。ただし、これは「無傷」を意味するものではなく、大規模な修繕や建て替えが必要になる損傷(大破)は許容されています。

耐震等級2:等級1の1.25倍の耐震性(避難所レベル)

耐震等級2は、等級1の1.25倍の地震力(壁の量や床の強度など)に耐えられる性能を示します。これは「長期優良住宅」の認定基準の一つでもあります。
等級2は、学校や病院、避難所として指定される公共施設に求められる耐震レベルです。

耐震等級3:等級1の1.5倍の耐震性(防災拠点レベル)

耐震等級3は、等級1の1.5倍の地震力に耐えられる、現行制度で定められた「最高等級」です。
このレベルは、消防署や警察署など、災害復興の拠点となる重要な建物に求められる基準です。熊本地震では、震度7の揺れを2度観測した地域でも、耐震等級3の住宅は倒壊・大破ともにゼロであったことが調査で報告されています。

要注意!耐震等級3でも倒壊リスクを高める3つの要因

木造住宅

1.「耐震等級3相当」と「認定」の決定的な性能差

「耐震等級3相当」と「認定」の決定的な違いは、「第三者機関による客観的な性能証明があるかないか」です。

「認定」の耐震等級3は、設計図書を「住宅性能評価機関」に申請し、厳しい審査をクリアしたものです。 一方、「相当」には公的な基準がなく、以下のようなケースが含まれます。

・簡易的な計算(壁量計算)のみで、詳細な構造計算(許容応力度計算)をしていない
・社内の独自基準で判断している

これらは、計算上は等級3を満たしていても、客観的な裏付けがない状態といえます。

こうした理由から、「相当」という言葉には注意が必要です。コスト削減のために審査を省略しているケースもあり、実際の性能が伴っていないリスクがあります。
耐震性の高い家づくりを希望する場合は、「住宅性能評価書」の取得を必ず確認しましょう。

2.施工品質(施工ミス)による耐震性のバラつき

どれだけ優れた設計図(耐震等級3)であっても、現場での施工ミスや品質のバラつきがあれば、想定された耐震性能は発揮されません。

耐震性は、指定された場所に指定された金物や部材が「正しく」施工されて初めて機能します。
施工不良は、地震の際に「設計上は耐えられたはずの力」に耐えられず、倒壊につながる弱点となります。

3.大きな窓・吹き抜け((採用するなら「工法」と「構造計算」が鍵)

耐震等級3を目指す際、一般的な工法(在来工法など)で大きな吹き抜けやLDKの大開口(窓)を採用すると、構造上のバランスが崩れやすく、設計の難易度が上がります。

・大きな吹き抜け
2階の床(水平構面)が減るため、家全体の「ねじれ」に対する強度が低下しやすい。

・大開口(窓)
壁の量が減るため、耐力壁をどこに配置するかがシビアになる。

また、これらを両立して等級3を達成するには、簡易的な「壁量計算」ではなく、詳細な「構造計算(許容応力度計算)」が必須となります

開放的な間取りを希望する場合は、必ず「許容応力度計算」を行っているか確認してください。デザインを優先するあまり、壁の配置が偏る(直下率が低い)と、等級3でも弱点となる恐れがあります。

地震による倒壊リスクを減らす家づくりの3つの対策

地震の力を面で分散させる「モノコック構造」

タイコウハウスの施工事例

モノコック構造とは、柱や梁(線)で支えるのではなく、壁・床・天井の「面」を一体化させて強固な「箱」を作り建物全体で地震の力を受け止める構造です。

航空機やF1カーにも採用される理論で、地震の揺れを特定箇所に集中させず、建物全体(6面体)で受け止めて効率よく分散させます。
具体的には、構造用合板などを隙間なく貼り付けることで、家全体の「剛性(ねじれにくさ)」を飛躍的に高めます。
モノコック構造は、耐震等級3の性能と非常に相性が良く、地震の揺れ自体を少なくする効果(制震性)も期待できます。耐震性を最重要視するなら安心の工法です。

建物全体を強固に支える「一体うち基礎(ベタ基礎)」の採用

ベタ基礎(一体うち基礎)は、建物の底面全体を鉄筋コンクリートの「面」で支える基礎工法であり、耐震等級3の強固な建物を支える上で現在最も主流かつ有効な方法です。

従来の布基礎(線で支える)と比べ、ベタ基礎は地面と接する面積が圧倒的に広くなります。これにより、建物の荷重を分散させ、特定の場所に重さが集中することによる「不同沈下(傾き)」のリスクを大幅に軽減します。

また、床下全面がコンクリートで覆われるため、地面からの湿気やシロアリの侵入を防ぐ効果も高まります。

家を建てる前の「地盤調査」と必要な「地盤改良」

どれだけ頑丈な家(耐震等級3)を建てても、その下の地盤が弱ければ、地震時に液状化や沈下を起こし、家ごと倒壊・傾斜するリスクがあります。事前の「地盤調査」と、必要に応じて「地盤改良」は必須です。

家を建てる前には必ず地盤調査を行い、その土地が建物の重さを支えられるか、液状化のリスクはないかを科学的に調べます。

調査の結果、地盤が弱いと判明した場合、表層改良や柱状改良(コンクリートの杭を打つ)といった地盤改良工事を行います。

耐震等級3を取得するメリットは?地震対策以外にも

建物の耐震

命と財産を守る「倒壊・崩壊しない」という安心感

耐震等級3の最大のメリットは、「家族の命」と「自宅という最大の財産」を地震から守れるという圧倒的な安心感です。

建築基準法ギリギリの耐震等級1は、大地震時に「即座に倒壊せず、避難する時間を確保する」ことが目的であり、建物が大きく損傷することは許容されています。
一方、等級1の1.5倍の強度を持つ耐震等級3は、震度7クラスの揺れが繰り返しても「倒壊・崩壊しない」ことを目指しています。
熊本地震では、等級3の住宅は倒壊ゼロ・大破ゼロで、地震後も避難所ではなく自宅で生活を継続できたケースが多数報告されました。

耐震等級3は、命を守るだけでなく、地震後の生活再建の拠点となる「住まい」そのものを守るための、最も確実な投資と言えます。

地震保険料(最大50%)の割引

「認定」の耐震等級3を取得すると、地震保険料に「耐震等級割引」が適用され、保険料が最大の50%割引になります

地震保険の割引制度において、耐震等級3は「免震建築物割引」と並ぶ最大の割引率(50%)が設定されています。

・耐震等級3:50%割引
・耐震等級2:30%割引
・耐震等級1:10%割引(耐震診断割引または建築年割引)

これは、保険会社から見ても「耐震等級3の住宅は、地震による損害リスクが極めて低い」と客観的に評価されている証拠です。

この割引は、保険を契約し続ける限り永続的に適用されます。初期コストはかかっても、毎年の保険料というランニングコストで長期的に回収できる、非常に大きな経済的メリットです。

住宅ローン「フラット35S」の金利優遇が受けられる

耐震等級3(または等級2)を取得すると、住宅金融支援機構の長期固定金利ローン「フラット35S(金利Bプラン)」の利用対象となり、一定期間の金利優遇が受けられます。

「フラット35S」は、耐震性や省エネ性など、質の高い住宅を取得する際に利用できる金利優遇制度です。耐震等級3は、この「金利Bプラン」の技術基準を満たしています。

これにより、当初5年間のローン金利が年▲0.25%引き下げられます(※2024年10月現在。優遇内容は申込時期や予算状況により変動します)。
(参考:住宅金融支援機構)

耐震等級3のデメリットや注意点

家づくりやマイホーム購入に関して疑問がある夫婦のイメージ画像

建築コスト(費用)が高くなる傾向

耐震等級3の取得には、建築コストが割高になる傾向があります。これは、より強固な構造にするための部材費や、詳細な構造計算費用、認定申請の費用が発生するためです。

<耐震等級1の住宅と比較して、主に以下の費用が追加で必要となります>
・部材費: 柱や梁のサイズアップ、耐力壁の量の増加、接合部金物の強化など。
・設計・計算料: 詳細な「許容応力度計算」など、高度な構造計算を行うための費用。
・申請費用: 「住宅性能評価書」を取得するための第三者機関への審査・申請手数料。

国土交通省の調査(参考)でも、長期優良住宅(多くが耐震等級3を取得)は、一般的な住宅に比べ建築コストが上昇する傾向が示されています。

壁量計算による間取りの制限

耐震等級3を目指す際、簡易的な「壁量計算」のみで設計すると、必要な耐力壁の量を確保するために、間取りの自由度が下がることがあります。

地震の横揺れに対抗するには、一定量以上の「耐力壁」が必要です。そのため、壁一面の大開口(大きな窓)、壁が少ない広大なLDK、大きな吹き抜けといった開放的なデザインは、壁を配置する場所が少なくなるため、実現が難しくなるケースがあります。

ただし、「耐震等級3=デザイン自由度の低い家」というわけではありません。 設計の工夫やその会社が採用する工法、施工技術によって、耐震性と間取り自由度の両立は可能です。

耐震性とデザイン・開放感を両立するために、設計ノウハウが必要

タイコウハウスの施工事例

開放的な間取り(大開口・吹き抜け等)と耐震等級3を両立させるには、設計者の高度なノウハウと、詳細な「構造計算(許容応力度計算)」が不可欠です。

簡易的な壁量計算ではなく、建物一棟ごとにかかる力を詳細に計算する「許容応力度計算」を行えば、どこにどれだけの強度が必要かを正確に把握できます。

これにより、不要な壁を減らし、必要な箇所に効果的に耐力壁や補強梁を配置するなど、設計の自由度が飛躍的に高まります。
例えば、吹き抜けがあっても家全体がねじれないよう床の強度(水平構面)を高める、といった専門的な対策が可能になります。

【まとめ】本当に「倒壊しない家」を目指すために

家の構造

本当に「倒壊しない家」を目指すなら、最高等級である「認定」の耐震等級3を取得することは「必須条件」です。しかし、それだけで「絶対に安全」と過信せず、「地盤」と「施工品質」も合わせた三位一体の対策を講じることが最も重要です。

また、「繰り返す地震」によるダメージ蓄積や、「地盤の液状化」など、等級の計算だけでは測れないリスクがゼロではないことも認識し、地震保険などで万が一に備えておくことも大切です。

<豊橋・豊川エリアで「全棟耐震等級3」の安心できる家づくりを>

タイコウハウスの施工事例

豊橋・豊川エリアで創業55年、地域密着の家づくりを続けてきたタイコウハウスは、地震対策においては「設計+α」を追求しています。
それは、耐震等級3の性能を最大限に引き出し、広いリビングのような開放的な間取りも実現することです。
それを叶えるのは、弊社で採用している地震に強い「モノコック工法」を可能とする施工技術です。
豊橋市・豊川市で安心安全な家づくりを実現したい方は、ぜひ一度タイコウハウスにご相談ください。